体温リズムと身体活動このページを印刷する

体温リズムに合わせた生活の重要性

監修:青 幸利(東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長)

1日の体温リズムと身体活動

身体活動と1日の体温リズム

ヒトの体温は1日のうちで、活動する日中に高く、睡眠をとる夜に低くなるというリズムで、つねに変動しています。身体活動が盛んな日中に体温が高く、体をあまり動かさない夜に低くなるのは、人間の生活パターンからみても合理的です。実際、夜に活動するネズミの仲間は、夜に体温が高く、休息する昼間に低くなります。

眠るときは体温が急激に低下する

朝、目覚める少し前から体温は上昇しはじめ、夕方から夜にかけて最高となります。この体温上昇が比較的ゆるやかなのに対し、夜に就寝するときは体温がほとんど直線的に急激なカーブを描いて低下しているのがわかります。
赤ちゃんは眠いと手足が熱くなりますが、これは手足から体内の熱を逃がして体温を下げるための生理的な現象です。一般的に、体の中心部の温度が下がったほうが眠りは深くなるのです。

一日の対応にリズム

体温リズムに合わせた身体活動を

運動は早朝ではなく午後や夕方に

ヒトの死亡時刻や心筋梗塞、脳梗塞、狭心症のピークは明け方から正午にかけての時間帯で、とくに起床後1時間以内に現れることが多いのです。このような現象の背景には、睡眠と覚醒にともなう自律神経機能の変化が深く関係しているものと考えられます。
ただでさえ、目覚めるときには血圧や心拍数の急激な変化が起こり、心・血管系に大きな負担がかかるのですから、朝のうちにジョギングなどの運動をするのは合理的とはいえません。夕方や夜の、体温が高い時間帯に適度な強度(中強度)の身体活動をすれば、体に無理がかからず、よい睡眠を得るのにもプラスに働きます。

中強度の身体活動とは

身体活動の強度は「METs(メッツ)」で表現されます。これは「代謝当量(安静時の代謝量の何倍か)」を示す単位です。年齢や体力によって異なりますが、一般に3METs未満が低強度、3〜6METsが中強度、そして6METsを超えると高強度になります。
中強度の身体活動には、速歩での犬の散歩、やや重い家事(ガーデニングなど)が含まれます。
中強度の身体活動とは

参考文献

青蜊K利:目からウロコの知識レット,基礎編『中之条研究』で実証された健康長寿の実現に最適な日常身体活動の量と質,ノーブル・プレス,2011
および青蜊K利:目からウロコの知識レット,実践編『中之条研究』で実証された医療費削減の効果が得られる日常身体活動の量と質,ノーブル・プレス,2011より引用

高齢になると体温リズムが変わる

高齢になると1日の体温の変動が小さくなる

若者と高齢者の体温リズムを比べてみると、高齢者では1日の体温の変動幅が小さくなり、夜間の体温があまり下がらないのがわかります。
体の中心部の温度(深部体温)が低くなると良質な睡眠がとれるのですが、高齢者では就寝(入眠)後の体温の低下が充分でないことが多く、これが不眠の主な原因になるといわれています。

若者と高齢者の体温リズム

高齢になると不眠が増える

年をとると不眠が増える理由

不眠は若い時代にもありますが、男女とも高齢になってから増加する傾向がみられます。不眠の原因は身体的な不調、不規則な生活、ストレスや精神疾患、クスリの副作用などさまざまですが、高齢になってからの不眠には、睡眠時に体温が下がる程度が小さくなる現象が関与することが多いと考えられています。

不眠の有病率

監修者紹介

青 幸利(東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長)
トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了、カナダ国立環境医学研究所研究員、奈良女子大学生活環境学部助手、大阪大学医学部非常勤講師を経て現職。

青蜷謳カからのメッセージ

健康増進や疾病予防の観点からは、それぞれの人による体温の変化など、体がもっている周期(リズム)を、いかにして適正に保つかということが重要です。そのためには、体温リズムに合わせた身体活動、また体温リズムを正常に保つための適度な強度(中強度)の身体活動などが検討の対象になります。
日常身体活動のタイミングを工夫して、心身の健康を維持していただくために役立ちそうな情報、生活上の工夫などについてお伝えできればと考えています。

青 幸利先生

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