身体活動で体温をコントロールするこのページを印刷する

身体活動や生活習慣で体温リズムをととのえる

監修:青 幸利(東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長)

よい睡眠を得るために身体活動をする

高齢者の体温は若者のように下げられるか

高齢者の不眠の原因に、若者とくらべて睡眠時の体温が下がりにくいことを指摘しました。では若者と同じように睡眠時の最低体温を下げることはできるでしょうか。寝室を暖房しすぎないようにするとか、電気毛布を使っている人は、タイマーで切れるようにするなどの工夫は、安眠の助けになることが知られています。しかしそれ以上に体温を下げようと、寒い部屋で布団も掛けずに寝たりすれば、寒くて眠るどころではなくなりますし、かぜをひいてしまうかもしれません。

最高体温を上げて安眠するという発想

では1日の最高体温を上げるのはどうでしょう。1日の最高体温は夕方から夜にやってきますが、その時間に中強度の身体活動をして体温をさらに上げれば、最低体温はそれほど下がらなくても、体温の落差は若者と同じ程度にとれるはずです。

高齢者の体温リズムを若者のリズムに近づける

身体活動と入浴はおなじように体温を上昇させる

運動と入浴は体温を効率的に上昇させる

このグラフは、しっかりトレーニングされた元気な学生たちによる体温上昇実験です。「高強度身体活動群」はランニングマシンで40分間走る運動をしたグループです。「入浴群」は42℃の湯船に、40分間入ったグループです。すると両群ともに体温が急激に上昇し、運動や入浴を終了すると、急激に体温が下がりました。運動と入浴は、同じように体温を上げるのです。
(この実験は充分にトレーニングされた学生を対象としたものですので、決してまねしないでください)。

運動や入浴(加温)による深部体温の上昇

身体活動や入浴の適切なタイミング

運動や入浴は夕方から夜にかけてが効果的

運動や入浴が効率よく体温を上げることが分かりました。それなら、1日の最高体温が出現する夕方から夜にかけて、中強度の身体活動や入浴をすれば、睡眠前後の体温の落差が大きくなり、よく眠れるはずです。
このような実験は日本や世界で数多く行われており、適切なタイミングでの運動や入浴が睡眠によい影響をあたえることが証明されています。

  • 朝や午前中よりも夕方から夜にかけての中強度の身体活動や入浴が効果的。
  • 身体活動や入浴は、寝つきをよくするだけでなく、眠りの深さを増したり、夜中の目覚めを減らしたりする効果がある。
  • 体温を上昇させる作用は身体活動も入浴も同等だが、身体活動のほうが適度な疲れをもたらすため、より睡眠の質に貢献するものと考えられる。
  • 夜遅くなってからの身体活動や入浴は、下がり始めた体温をまた上げるため、逆効果になる場合があるので注意する。

監修者紹介

青 幸利(東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長)
トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了、カナダ国立環境医学研究所研究員、奈良女子大学生活環境学部助手、大阪大学医学部非常勤講師を経て現職。

青蜷謳カからのメッセージ

健康増進や疾病予防の観点からは、それぞれの人による体温の変化など、体がもっている周期(リズム)を、いかにして適正に保つかということが重要です。そのためには、体温リズムに合わせた身体活動、また体温リズムを正常に保つための適度な強度(中強度)の身体活動などが検討の対象になります。 日常身体活動のタイミングを工夫して、心身の健康を維持していただくために役立ちそうな情報、生活上の工夫などについてお伝えできればと考えています。

青 幸利先生

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