高齢化とともに増加する「認知症」このページを印刷する

「認知症」って、どんな病気なのでしょう。

監修:三島和夫(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部長)

認知症の最大の危険因子は「加齢」

現在の65歳以上での有病率は8%台

認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。後天的な原因で精神機能が衰える点で、知的障害(精神遅滞)とは異なります。
認知症のなかで、最も多いのはアルツハイマー病、2番目に多いのは脳梗塞の後などに発生する脳血管性認知症です。そのほかにも、性格・行動面の変化が目立つピック病、パーキンソン病のような身体症状を伴うレビー小体認知症などがあります。
認知症の最大の危険因子は加齢です。65〜69歳の有病率は1.5%ですが、5歳ごとに倍加し、85歳では27%に達します。日本の65歳以上の高齢者における有病率は8%台とされますが、将来はこのグラフのように増えていくものと考えられています。

認知症を有する高齢者の将来推計(数,有病数)

おもな原因はアルツハイマー病と脳血管疾患

日本でも最も多い認知症となったアルツハイマー病

以前は日本では脳血管性認知症が最も多いといわれていましたが、最近の調査では、欧米のようにアルツハイマー病が最大となっています。アルツハイマー病の原因はまだ不明です。しかし大脳皮質にアミロイドベータ(Aβ)という物質が沈着して現れる「老人斑」が特徴で、この現象を手掛かりに原因解明が進められています。

アルツハイマー病と大脳皮質の「老人斑」

自分で気がつかない程度の脳こうそくでもなる脳血管性認知症

脳こうそくなどの脳血管疾患が原因でなる認知症です。脳内部での連絡機能が低下することで起こります。明確な身体症状が現れないため、本人も自覚していない程度の軽い脳こうそく(潜在性脳こうそく・無症候性脳こうそく)の積み重ねで起こることもあります。

在宅介護を難しくする「夜間はいかい」などの行動異常

認知症の症状は記憶面の異常と行動異常・精神症状からなる

どの認知症にも共通しているのは、記憶などの認知機能障害が中心となり、行動異常・精神症状が付随してくることです。

・記憶
「ついさっきのことが思い出せない」といった記銘力障害が出てきます。また、すでに買ってある物をくり返して買ってしまうようなことも起こります。

・失語、失行、失認
言葉の理解ができない失語。いままで簡単にできていた作業ができなくなる失行。何度も行った場所に行けなくなって迷う失認などの症状です。

・実行機能障害
段取りよく物事をこなしていく能力の低下が起こります。限られた料理のメニューをくり返し作ってしまうなど。

・精神症状・行動異常
記憶などの認知機能障害よりも、これらの症状は家族の大きな負担になります。とくに暴言・暴力、はいかい・行方不明、妄想などが問題になります。夜中のはいかいなどは家族を疲弊させ、在宅介護を難しくします。またレビー小体型認知症では幻視や寝ぼけ、ピック病なら万引きなどの反社会的な行動が特徴となります。

監修者紹介

三島和夫(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部長)
1987年、秋田大学医学部卒業。同大教授を経て2002年より米国バージニア大学時間生物学研究センター、スタンフォード大学医学部睡眠研究センターに留学。2006年から現職。2011年4月から脳病態統合イメージングセンター・画像診断治療研究部部長を併任。平成2年エルウィン・フォン・ベルツ賞、平成14年日本睡眠学会研究奨励賞等を受賞。

三島先生からのメッセージ

認知症は、夜間や早朝に目覚めて、「はいかい」するなど、ご家族の負担の大きな病気です。このような睡眠・覚醒リズム障害は、体温や「睡眠ホルモン」といわれるメラトニン分泌のリズムの異常とともに起こります。
認知症かもしれないと感じたら、早期に受診することが大切です。その上で、生体リズムを考えた生活上の工夫をすることも、治療の助けになります。

三島 和夫先生

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