本来の生活リズムを取り戻すためにこのページを印刷する

生体リズムを考えた生活上の工夫をすることも、認知症治療の助けになります。

監修:三島和夫(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部長)

夜間睡眠をとるための日常生活上の工夫

夜間のはいかいを防ぐためのポイント

自力歩行している認知症患者が寝たきりになると、さらに夜間睡眠を維持できなくなることがわかりました。それは逆に、生活の仕方を工夫すれば、睡眠・覚醒リズムを維持し、夜間のはいかいなどを減らせる可能性を示すことにもなります。
全米最大のアルツハイマー病患者支援団体では、日常生活上のポイントを示していますが、それに最新の知見を加えたのが、この表です。これを見ると日光にあたるなど、夜間睡眠をうながし、日中の覚醒水準を維持するための対策が列挙されています。夜間の「はいかい対策」には、1日を通しての生活リズムを取り戻すことが大切なのです。

問題点を見つける 睡眠問題の原因を特定し、適切に対処する
生活環境 外出する機会をもつ(日光にあたる)
日中は室内を明るく保つ
就寝環境を整える(寝室は暗く保つ)
就寝環境を整える(施設の場合は気の合った同室者を選ぶ)
睡眠衛生 休日も含めて入床、覚醒時刻をなるべく一定にする
昼寝はできるだけ控える/午後の早い時間に1時間以内/日中にベッドを使用しない
日中の定期的な身体運動(入床前の4時間以降は避ける)
食事時刻をなるべく一定にする
夕方以降の定期的な入浴・半身浴(就寝2〜3時間前)
嗜好品 アルコール、カフェイン、ニコチンの摂取を控える(特に夕方以降)
服薬 コリンエステラーゼ阻害剤の夜間の服薬を避ける
睡眠を阻害する薬物、日中の過眠をもたらす薬物の調整
合併疾患 痛みを伴う病気への対処(疼痛、掻痒、頻尿などへの対処)
  

高齢者、認知症高齢者の夜間睡眠を保つための睡眠衛生指導
(Cookeらの推奨(2006)、米国アルツハイマー協会の推奨(http://www.alz.org/)にその他の知見を追加して作成)

*服薬の中止、減薬などは勝手に決めず、必ず主治医に相談してください。

太陽の光で、本来の体温リズムを取り戻す

日光にあたると夜間のメラトニン分泌が増加

対策の二番目にある「昼間に、日光にあたる」効用のひとつは、睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌を促すことです。メラトニン分泌は加齢とともに低下しますが、その大きな原因として、高齢になると日に当たる機会が少なくなることが挙げられています。高齢者を対象とした実験によっても、日中の照明を明るくした生活環境にすると、夜間におけるメラトニン分泌が増加し、夜間睡眠に改善が認められることがわかっています。

規則正しい生活で、体温リズム・生活リズムを整える

睡眠は大切ですが、朝だらだらと寝ていては、生活リズムを整えることはできません。朝は、同じ時刻に起きるようにしましょう。そして昼間に光をあびる。この繰り返しにより、体温は深夜から明け方に低く、午後から夕方にかけて高くなるという、本来のリズムに近づきます。この体温リズムが、夜はよく眠り、昼間はしっかり目が覚めているという生活リズムにすることを助けます。

監修者紹介

三島和夫(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部長)
1987年、秋田大学医学部卒業。同大教授を経て2002年より米国バージニア大学時間生物学研究センター、スタンフォード大学医学部睡眠研究センターに留学。2006年から現職。2011年4月から脳病態統合イメージングセンター・画像診断治療研究部部長を併任。平成2年エルウィン・フォン・ベルツ賞、平成14年日本睡眠学会研究奨励賞等を受賞。

三島先生からのメッセージ

認知症は、夜間や早朝に目覚めて、「はいかい」するなど、ご家族の負担の大きな病気です。このような睡眠・覚醒リズム障害は、体温や「睡眠ホルモン」といわれるメラトニン分泌のリズムの異常とともに起こります。
認知症かもしれないと感じたら、早期に受診することが大切です。その上で、生体リズムを考えた生活上の工夫をすることも、治療の助けになります。

三島 和夫先生

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