その他の生活習慣と冷え性このページを印刷する

運動に入浴、日常生活の中で冷え性を防ぐためのポイントを解説します。

監修:渡邉賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)

人は暑さには適応しやすいが、寒さには適応しにくい。

いちど冷えた足先は、なかなか温まらない

一般に人は暑熱環境(しょねつかんきょう=暑い環境)に対しては発汗などの放熱作用によって効果的な体温調節をすることができます。
しかし寒冷環境に対する調節能力はかなり劣り、暑いときの発汗に匹敵するような、有効な熱産生の手段をもっていません。そこで寒い環境では、末梢血管を収縮させることで四肢末端や皮膚表面の血流を少なくし、熱が外に失われるのを防ぎます。その結果、足先の温度は、体の深部より10℃以上も低くなることがあります。
*このような場合は、暖かい場所に移っても、足先はなかなか温まらないことがあります。

*中山昭雄,入來正躬(編):新生理学大系22,医学書院,1987

足湯は、手の温度までも高くする

足湯の実験では、お湯につけていない手の温度も上がることが分かりました。
40℃のお湯に20分間足をつけたところ、足先の温度は当然回復しましたが、手のひらや手の甲の温度も約3℃上昇しました。これは足を温めることで、手をはじめとする全身の血液循環が改善したものと考えられます。**また足湯をすると、下半身の冷えが原因でのぼせが起こる「冷えのぼせ」の状態も改善されることが多く、足湯は冷え性の人には手軽で有効な習慣だと思われます。

**渡邊賀子:漢方と最新治療8(4),1999

入浴は、ぬるめの長湯が正解。

いちど冷えた足先は、なかなか温まらない

入浴実験をしたところ、冷えを防ぐ入浴のポイントは「ぬるめのお湯にできるだけ長く入る」ことだということがわかりました。 38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくりつかると、心身を緊張させる交感神経の働きが抑えられて副交感神経が優位となり、体だけでなく、精神的にもリラックスし、末梢の血管が充分に開きます。また、浮力と水圧の効果で足腰の筋肉が緩んで、体のすみずみまで血液が行き渡り、冷えやむくみの改善にもすぐれた効果を発揮します。

ところが、40℃以上の熱いお湯に入ると、一気に体が温まったような気になりますが、これはまちがい。熱い湯の刺激によって、鳥肌がたった経験はありませんか?これは、交感神経が働くためで、末梢の血管が収縮して、かえって血行が悪くなります。熱いお湯ですから、体の表面の温度は急激に上昇しますが、これは一時的なもので、体の深部まで温まらず湯冷めもしやすいのです。

入浴実験

まだある「冷え」を防ぐ入浴法、そしてカイロや湯たんぽも活用しよう。

半身浴と分割入浴の効用

半身浴はもう実践している人も多くなっていますが、胸から下だけの入浴は、心肺系に負担をかけずに末梢循環の改善効果が得られるので、高齢者にも適しています。
分割入浴というのは、5〜10分間の入浴を繰り返す方法で、循環改善効果が長時間持続するといわれています。

電気毛布よりも、湯たんぽやあんか

また簡便な温熱療法として、湯たんぽやあんか・カイロなども有用です。眠るとき電気毛布で体全体を温めると、皮膚が乾燥したり、過剰な発汗を招いたりすることがあります。湯たんぽやあんかで足もとだけを重点的に温めたほうが、冷えは効果的に改善されます。ただし、取扱説明書をよく読んで、低温ヤケドをしないように注意してください。

運動をしてからだの中から熱を生み出そう。

生活の中で体を動かす

私たちの体はつねに代謝によって熱を生み出しています。温暖な環境で安静にしているとき、筋肉(骨格筋)が生み出す熱の量は全体の20%程度になります。しかし中等度の動作をしていると、代謝活動はいちじるしく高まり、骨格筋が生み出す熱の量は3倍以上になり、全体の76%にまで上昇します。通常、1日の生活における骨格筋の熱産生量は全体の約6割を占めると考えられます。 したがって、生活の中で運動を取り入れることも重要な冷え性対策といえます。日常生活で歩く機会を増やしたり、駅のエスカレーターを使わず階段をのぼったり、家事や庭仕事を積極的にしたりと、運動できる機会は生活の中にたくさんあるのです。

安静時と運動時の熱産生量の比較

ウォーキングやストレッチも取り入れて

軽い運動を毎日の生活に無理なく取り入れるのはストレス解消にもなり、自律神経の調整に役立つと考えられます。いろいろな雑誌とかテレビなどで紹介されるストレッチの方法を覚えて実践するのもいいでしょう。

監修者紹介

渡邉 賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)
久留米大学医学部卒業。熊本大学第三内科に入局。1997年、北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を開設。2003年、慶應義塾大学病院漢方クリニックにて、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。現在も引き続き担当している。慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師。漢方専門医・日本東洋医学会指導医。

渡邉先生からのメッセージ

「冷え性」は西洋医学では病気と考えられていませんが、実際には冷え症状のために日常生活に支障をきたしている人も多いのです。
寒い季節だけでなく、夏の冷房でも「冷え」を感じることはあり、季節を問わず悩んでいる人も多いと思いますが、実はちょっとした生活習慣や環境の改善で、軽くすることもできるのです。

渡邉 賀子先生

体温と健康について、知識を深めましょう

体温は、ご家庭にある体温計で誰でも気軽に測れるもっとも身近な体調チェックの手段です。

体温と生活リズム

体温と日常生活の関係

睡眠や食事、学力にも関係する!? 体温には、意外なつながりがあります。 体温と生活リズム

子どもの低体温

子どもの低体温

最近、体温の低い子どもが増えているようです。どんな子どもが低体温なのか、どんな対策が必要か、専門家にうかがいました。 子どもの低体温

テルモ体温研究所とは

このページの先頭へ