熱中症になりやすい人、なりにくい人このページを印刷する

熱中症は暑い日に起こりやすいのですが、みんながそれほど暑いと思わない程度の気温でも、熱中症の症状を起こす人はいます。その人の年齢、体調、病気、水分の取りかた、住居の環境、運動や労働の程度、暑さに慣れているかといった、いろいろな要素がからんで、熱中症は起こったり、起こらなかったりするのです。
熱中症をよく知って備えをすれば、暑い季節をじょうずに乗り切ることができますから、熱中症についての常識的な知識を身につけておきましょう。

監修:朝山 正己(中京女子大学 健康科学部 教授・同大学院健康科学研究科教授)

1. 熱中症になりやすい人は?

乳幼児や高齢者は、とくに熱中症にご注意を。
それ以外の健康人でも、体調によっては起こることがあります。

暑い日に運動したり、暑い部屋にいたりすると、熱中症を起こすことがあります。しかし同じ運動をしていても、あるいは同じ部屋で過ごしていても、熱中症になる人と、ならない人がいます。
では、どんな人が熱中症になりやすいのでしょう?年齢別にみた熱中症死亡率のグラフを見ると、乳幼児と高齢者がとくに熱中症になりやすいことがわかります。年齢によって、どうしてこんなに違うのでしょうか。また熱中症は、元気盛りの人の場合でも、体調や生活の仕方によっては起こりやすくなります。熱中症は、どのような仕組みで起こるのでしょうか。
熱中症の起こる仕組みを理解して、熱中症になるのをじょうずに防ぎ、暑い季節をしっかり乗り切りましょう。

年齢別・性別でみた熱中症死亡率(1968〜2004年)

「熱中症」とは、暑い環境のなかで発生するからだの不調のことをいいます。

熱中症は、体の外から入ってくる「熱」や、体の中で発生する「熱」の影響により引き起こされる、いろいろな体の不調のことをいいます。
私たちの体には「体温調節機構」が備わっており、暑いときには汗をかいて体表面から熱を逃がし、上がった体温を冷やそうとするはたらきがありますが、一度に大量に汗をかくと水分や塩分が体内から失われ、体液のバランスがくずれて、けいれんを起こしたり、気を失ったりといった、体の不調が起こります。このような状態も、熱中症の典型的な例です。

高齢者や乳幼児が起こしやすい「古典的熱中症」、スポーツをしているとき起こるのは「労作性熱中症」。

熱中症が起こる仕組みは、大きく2種類に分けられます。

古典的熱中症(外から入ってくる熱がおもな原因)

夏に気温が異常に上がって、それが何日も続く「熱波」の時期によく起こり、とくに高齢者や乳幼児に多く発生します。心臓病や腎臓病、糖尿病などの病気がある人の場合も頻度が多くなります。屋外の駐車場にとめた車の中で乳幼児が起こしたり、ひとり住まいの高齢者が起こすケースなども、これにあたります。

労作性熱中症(体内で発生する熱がおもな原因)

夏のスポーツや、屋外での労働など、高温環境での運動時・作業時に多く起こります。健康な人でも、若い人でも、暑い中で無理をすると発生します。大量の発汗をともない、臓器障害を起こすことも多いのが特徴です。

体調の悪い人では、どちらの熱中症も起こりやすくなります。

熱中症には、大きく分けて4つの病型がある。

熱中症には軽いものから重いものまで4つの病型があります。

熱失神

皮膚血管が拡張することにより血圧が低下し、脳の血流が少なくなるために、めまい、失神などの症状が現れます。顔色が真っ青になり、呼吸回数が増え、脈は速く、しかし弱くなり、唇のしびれがおこることもあります。長時間立っていたり、座った姿勢から立ち上がったとき、運動の後にも起こります。

熱疲労

大量の汗をかいて体内の水が失われ、水分の補給が追いつかずに脱水を起こしたときの症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などが見られます。汗からは塩分も失われますから、水だけを飲んでもなかなか回復しません。

熱けいれん

大量に汗をかいたとき、血液の塩分濃度は高くなります。しかし水だけを補給すると、血液の塩分濃度は反対に低くなり、その結果として足、腕、腹などの筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。暑い環境下で長時間の運動をするなどで、大量の汗をかいたとき起こることがあります。

熱射病

高温環境下で激しい運動をするなどで、体温が高くなって(40℃以上)脳の温度も上昇し、中枢の神経機能が異常を起こした状態です。頭痛、吐き気、めまいなどに続き、何かを聞かれても反応が鈍くなったり、おかしな言動や行動が見られたり、意識がなくなったりします。全身の臓器に障害が起こったり、死亡の危険性も高い状態です。

熱中症は、最初は軽いものであっても、ほんの短い時間で重症化することがありますので、甘く考えないで適切な手当てをする必要があります。

監修者紹介

朝山 正己(中京女子大学 健康科学部 教授・同大学院健康科学研究科教授)
1968年京都教育大学教育専攻科修了。医学博士(京都府立大学)。京都府立大学(衛生学教室)助手、愛知医科大学(生理学)講師、助教授を経て1986年より現職。
米国インディアナ大学医学部招聘教授、中国北京体育大学客員教授などを務める。
2001年、「スポーツ活動中の熱中症予防研究」に対して、第5回秩父宮記念スポーツ医科学賞奨励賞を受賞。日本生気象学会熱中症予防研究委員会代表幹事。

朝山 正己先生

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