熱中症の予防法と対策このページを印刷する

熱中症は暑い環境でスポーツや労働をしているときのほか、通常の生活時にも起こります。体がだるくなって思うように動かない、筋肉がけいれんする、頭痛、めまい、動悸がするなど、自分にとって普通でない症状が出てきたら、危険な状態といえます。またお年寄りや子どもの場合は、周りの人が注意して見てあげることも必要です。
熱中症は、最悪の場合は死に至るケースもありますが、早めに適切に対処すればほとんどはおさまります。さらに望ましいのは、熱中症に対する知識を深め、的確な予防措置を講じておくことです。

監修:稲葉 裕(実践女子大学生活科学部・食生活科学科 教授)

2. 労働時の熱中症を防ぐには

午後2時から4時台に多い熱中症の発生。作業開始から数日間はとくに注意を!

労働時に起こる熱中症は、夏季の屋外作業を中心に、高温環境であればどの職場でも起こるおそれがあります。しかし職場ごとに適切な予防対策をとることにより、防ぐことは充分可能です。

熱中症は、どのような労働条件で起こりやすいか

季節
7月と8月に多い
時間帯
午後2時から午後4時台の間に多発
年代別
30〜50代が最多、しかし20代も多い
業種別
建設業が圧倒的、おもに屋外作業時
作業日数
建設業が圧倒的、おもに屋外作業時 作業日数 作業開始の初日から数日の間がほとんど

理にかなった「3時のおやつ」

午後2時から午後4時台に多発しているのは、気温や日照がピークであり、また疲れが出やすい時間帯であるためと考えられます。「3時のおやつ」で、水分・塩分を補給し、休憩をとることも有効な予防法といえます。
作業開始から数日の間に事故が多いのは、体が暑さになれていないことと、熱中症に関する知識が浸透していないことが関係しているものと考えられます。作業の開始にあたっては、熱中症の危険性について教育し、熱中症予防の意識を現場に共有させておくことが大切です。

熱中症の発生状況(2006年6〜8月)

少しでも涼しく働ける環境づくりを心がけましょう。

直射日光をさえぎる

屋外作業では帽子をかぶり、屋根や日よけを作って直射日光をさえぎります。屋内の場合は、窓のブラインドを使ったり、遮光フイルムを貼るなどの対策を。窓の外につる性植物をはわせるのも効果があります。

扇風機の活用

扇風機で皮膚表面からの汗の蒸発を促進する効果があります。

通気と換気

窓を開ける、換気扇を回すなど、屋内から熱気を排出し、涼しい外気を取り込みます。

打ち水

地面や、休憩所の屋根に散水すると、気化熱で周囲や休憩所が涼しくなります。見た目の涼しさを演出することで元気も出ます。

休憩所

望ましい休憩所の条件は 1) 直射日光を避けられる 2) 水分と塩分を補給できるスポーツドリンクなどが備えられている 3) クーラーや扇風機、うちわが備えられているなどで、できればシャワーもあればより快適になります。 休憩所はできるだけ快適な温度に管理することが大切ですが、20℃以下の涼しすぎる環境では、皮膚表面の血管が縮んで、かえって熱の放散がしにくくなる場合があります。

温度計やWBGT計の設置

作業場所に温度計や湿度計、できればWBGT計(湿球黒球温度計=暑さ指数計)を設置しておきましょう。

熱中症予防を念頭においた作業管理を。

無理のない作業計画

気温や湿度などの条件、作業内容、はたらく人の健康状態などを考え、作業の休止時間や休憩時間を確保し、適切に配分します。とくに人力による掘削など、エネルギー消費の大きい作業や連続作業では、交替人員を配置してください。

快適な服装

熱を吸収したり、熱を逃がしにくい服装は避け、吸湿性、通気性のよい服装にします。

直射日光を防ぐ

直射日光下で作業するときは、通気性のよい帽子などをかぶります。

健康状態の把握、熱中症予防教育、体温測定などで健康管理を。

健康管理と適正な配置

健康診断結果などに基づいた適切な健康管理と、体力などに合った、適正な人員配置をしてください。

健康管理指導・健康相談

睡眠時間、栄養指導など日常の健康管理について指導を行い、必要に応じて健康相談を実施します。

作業現場での健康確認

作業開始前に健康状態を確認します。作業中の巡視や声かけ、そしてお互いの健康状態に留意させることも大切です。

水分・塩分の補給を指導

こまめな飲水と塩分補給など、必要な指導を行います。

体温測定

休憩所などに体温計を置き、休憩時間に測定させます。耳式体温計は身体中枢部の温度を反映しやすく、また測定に時間がかからないので、熱中症対策として有用です。ワキ下で45℃まで測定できる体温計もあります。

耳式体温計 ワキ下体温計 測定範囲:20〜45℃

監修者紹介

稲葉 裕(実践女子大学生活科学部・食生活科学科 教授)
1973年東京大学医学部医学系研究科・保健学修了。東京大学助手、ハワイ大学がんセンター協力研究員を経て1979年順天堂大学助教授、1988年同大学教授、2008年より現職。保健学博士、医学博士。

稲葉 裕先生

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