高齢者に特徴的な体温リズム

公開日2021.08.30

※当コンテンツの内容は2021年7月時点の情報となります。

高齢者の体温リズムには特徴があり、眠りに大きな影響をおよぼします。
監修:永島 計 早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))

年をとるにつれて体温のリズムが変化していきます

1日の体温は1℃くらいの幅で変動しています

体温は一定ではなく、つねに変動しています。活動する日中には高く、睡眠をとる夜には低くなります。
細かくみると、体温は早朝4時前後に最低になったあと上昇し始め、昼頃から夕方までは高く維持され、夜になって下がり始めます。
環境にも影響を受けますが、1日の体温の変動幅は1℃程度とされています。

高齢者の体温は“早寝早起き型”です

高齢者は、朝の体温の立ち上がりが若い人より早く、夜に体温が下がるのも早くなります。睡眠の状態を調べると、眠りにつくのも、朝起きるのも早くなっています。ほかにも、血圧の変動やホルモンの分泌など多くの生体リズムが前倒しになっています。これは、加齢とともに体内時計が変化するからだと考えられています。

高齢者は眠りが浅くなります

高齢者は、夜間の体温があまり下がりません。そのため、1日の体温の変動幅が小さくなっているという特徴があります。
一般に、体の中心部の温度が下がったほうが眠りは深くなります。夜の体温があまり下がらない高齢者は眠りが浅いことがわかっています。そのため、尿意や、ちょっとした物音でも目を覚ましやすくなります。

監修者紹介

永島 計

早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))

1985年京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学附属病院研修医、修練医、大阪鉄道病院レジデントを経て、京都府立医科大学大学院博士課程(生理系)修了。京都府立医科大学助手、YALE大学医学部・John B Pierce研究所ポストドクトラルアソシエート、王立ノースショア病院オーバーシーフェロー、大阪大学医学部助手•講師、早稲田大学助教授を経て、2004年から現職。日本スポーツ協会スポーツドクター、日本医師会認定産業医。

永島先生
からのメッセージ
加齢に伴って、筋肉や心臓、肺、脳などの機能が衰えていくのはよく知られています。これらの機能低下の予防のため、脳トレ、筋トレや散歩の推奨、様々な健康イベントの開催などが行政レベルでもなされています。しかし、体温やその調節機能も加齢とともに変化していくことは意外に知られていません。この体温の変化は高齢者によく見られる、“眠れない”、“寝てもすぐ起きてしまう”などの睡眠障害や、熱中症の被害者になりやすいことにも密接に関係しています。高齢者ご自身や家族、高齢者にかかわる仕事につかれている方々に一読いただき、高齢者の体温の特徴を知っていただき、より健康的な生活を送るための方法の一つとして参考にしていただければ幸いです。
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