運動で低体温を改善このページを印刷する

外で思いきり遊ばせる。毎日2時間の運動を継続すると、体温調節をうまくできない子どもが減りました。

監修:前橋 明 (早稲田大学人間科学部 教授)

運動で低体温を改善

戸外で思いきり遊ばせると、体温異常に改善が認められました。

前回、幼児に体温異常が増えてきたことを書きました。登園してきた5歳児の体温を測ってみたら、約3割の子どもが、低体温、高体温であることがわかり、また朝の2時間だけで体温が1℃以上変動する子が12%近くいて、逆に変動のない子も7.2%いたのです。
今回は、その後のことを報告したいと思います。これら体温異常がある子どもたちは、明らかに生活習慣の乱れと睡眠リズムの乱れがありましたので、私は「問題解決のカギは運動量にある」と考え、子どもたちを戸外で思い切り遊ばせてみました。すると、登園時の体温が36℃未満の低体温児と、36℃台の子どもたちは、体温が上がりました。
一方、登園時の体温が37度以上だった子どもたちの体温は下がりました。登園時の体温が低かった子も、高かった子も、お昼前には、36℃から37℃の間に収まっていったのです。体を動かすことで、体が熱を作り出す「産熱」と、熱を放散する「放熱」機能が活性化され、自律神経の働きがよくなって、その結果、体温調節ができやすくなったのでしょう。

登園時の体温異常が、運動によって改善された。

18日間運動を続け、体温を記録していたら体温調節をうまくできない子が半分に減りました。

登園時の体温異常が運動によって改善することがわかったので、体温異常の子どもを含む181人に、毎日2時間の運動を継続的に18日間行いました。すると、これによって、帯グラフのように、体温調節のうまくできない子どもが日を追って減り続け、ついに半減したのです。

18日間の運動により体温異常児が減少

実際に行った運動プログラムは表のとおりです。跳んだり、はねたりすることで、筋肉は無意識のうちに鍛えられ、体温も上がります。その結果、ホルモンの分泌がよくなり、自然に活動型の正常な体のリズムに戻るのだと考えられます。いまの子どもたちには、運動が絶対に必要です。そのためには、おとなが意識して、運動の機会を努めて設けていくことが欠かせません。

保育園で行った運動プログラム

目標は7千歩から1万歩。運動量を確保して、健康な体温を獲得しましょう。

子どもたちにとって、午前中は活動意欲がわくホルモンが分泌され、体温が高まっていく重要な時間帯で、この時間に戸外あそびをするのは成長過程にとって、必須の条件といえます。午前9時から11時までの2時間に自由に戸外あそびをしたときの歩数は図のとおりです。戸外あそびの平均は5歳男児の場合3,387歩で、室内での活動よりずっと多くなりました。保育者がいっしょにあそんだ場合は、さらに歩数が伸びる傾向もみられました。
さて、つぎは午後の部です。子どもたちが最も活動的になれるのは、体温がもっとも高くなる午後3時から5時ごろです。この時間帯にも4,000〜6,000歩を目指したいのですが、最近は遊び場も、いっしょに遊ぶ仲間も少なくなっていますので、せめて2,000〜3,000歩は確保しましょう。この午前と午後の戸外あそびに、生活活動としての歩数を加え、1日に7,000〜10,000歩を確保することが可能になります。
子どもたちを健康に育てるため、このような運動プログラムを活用し、生活リズムの乱れを改めたり、あるいは低体温などの体温異常を感じている場合は、体温を記録しながら続けていくのも励みになるでしょう。
目標は7千歩から1万歩。運動量を確保して、健康な体温を獲得しましょう。

監修者紹介

前橋 明(早稲田大学人間科学部 教授)
1977年南オレゴン州立大学卒業。倉敷市立短期大学教授、米国バーモント大学客員教授・ノーウィッジ大学客員教授等を経て、2003年4月から現職。医学博士(岡山大学医学部)。

前橋先生からのメッセージ

「食べて、動いて、よく寝よう!!」
これが、生きる力の基盤となる自律神経を鍛え、体温調節のできる子どもを育む秘訣です。
子どもたちの心やふれあいを育てるためには、家庭における『食』を、自律神経を鍛え、生きる力を育むためには『運動』を、キレないで情緒や精神を安定させるためには『睡眠』を、生活の中で努めて大切にしていかねばならないのです。

前橋 明先生

体温と健康について、知識を深めましょう

体温は、ご家庭にある体温計で誰でも気軽に測れるもっとも身近な体調チェックの手段です。

検温方法

体温測定の方法

ワキ、口、耳について、体温を測るときの正しい方法をそれぞれ解説します。 検温方法

検温表

検温表

検温結果の記録に便利なチェックシートをダウンロードできます。 検温表

体温計入門

このページの先頭へ