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夜型の生活を続けていると、体温のリズムもずれやすくなります。早寝早起きをして、しっかり睡眠をとりましょう。

監修:前橋 明 (早稲田大学人間科学部 教授)

生活リズムを生体リズムに合わせよう

子どもの就寝時刻が遅くなり、睡眠不足の傾向が進んでいる。

全国の幼児の生活実態調査をしたところ、2007年春季の保育園児の就寝時刻は平均で午後9時51分、幼稚園児は午後9時33分でした。また、午後10時以降に就寝する幼児は、1998年には40%を占めました。その後、2005〜2006年には50%を越えた地域(沖縄県、千葉県、高知県、石川県)が確認され、2007年には60%を越えた地域(東京都江戸川区、沖縄県那覇市)が出てきました。いまや9時前に寝る子は少数派になってしまいました。育児の基本である「早寝」が大変困難になっているのです。
幼稚園児より寝るのが遅い保育園児の場合、睡眠時間は9時間19分と短かかったのですが、9時間程度しか眠らない幼児は、翌日に精神的な疲労症状を訴えることが多く、また、このグラフのように、力が充分に発揮されないことが明らかにされています。最も力を発揮できたのは、午後9時より前に寝て、午前7時より前に起床する「早寝・早起きで10時間以上の睡眠をとった子どもたち」でした。やはり、子どもの場合、夜には10時間以上の睡眠時間を確保することが、翌日の元気さを発揮するためには欠かせないのです。

生活リズムが生体のリズムと合わなくなると心身の不調とともに体温異常が起こりやすい。

人間が地球上に登場した原始の時代は、地球のリズムが、そのまま生体のリズム、社会のリズム、生活のリズムになっていました。しかし、現代では社会のリズムが急速に変化し、朝、目覚めて、夜眠くなるという、もともとの生体リズムと合わなくなってきています。
夜間、テレビに見入ったり、保護者の乱れた生活の影響を受けたりした子どもたちは、睡眠のリズムが遅い方にずれ、心身の健康をそこなうことがあります。深夜に、レストランや居酒屋などで子どもを見かけることがありますが、「午後8時を過ぎたら、おやすみの時間」と訴えたくなります。
子どもは、夜眠っている間に、脳内の温度を下げて身体を休めるホルモン「メラトニン」や、成長と細胞の新生を助ける成長ホルモンが分泌されるのですが、生体リズムが狂いを生じると、ホルモンの分泌状態が悪くなり、さまざまな生活上の問題が現れています。例えば「日中の活動に元気がない」「昼寝のときに眠れない」「みんなが起きるころに寝始める」「夜は眠れず、みんなが寝るころ元気である」といった現象です。

生体のリズムが狂いを生じると低体温や高体温などの体温異常が現れることがあります。

生活が遅寝遅起きで夜型化し、生体リズムが狂いを生じると、体温のリズムが普通より3〜4時間後ろへずれ込んだリズムになりやすくなります。

そのため、朝は眠っているときの低い体温で活動を開始しなければならないので、ウォーミングアップのできていない状態で体が目覚めず、動きは鈍いのです。逆に、夜になっても体温が高いため、なかなか寝つけないという悪循環が生じてきます。さらに、低体温や高体温という体温異常の問題も現れてきています。これは、自律神経による体温調節が適切に行われていないことを物語っているのです。

・幼児の生活リズムの基本として、次のことを提案したいと思います。

・就寝は遅くとも午後9時ごろ(できれば午後8時)までに。

・起床は午前7時ごろまでには、自然に目覚めるように。

・午後9時に眠るための夕食は、遅くとも午後7時ごろまでにはとるようにする。

ときには、夜遅く眠ることもあるでしょうが、朝は常に一定の時刻に起きることが大切です。朝の規則正しいスタートづくりが、何より肝心だということを覚えておいてください。

生体のリズムを整える、早寝・早起きの知恵。

早寝早起きで睡眠のリズムを整え、きちんと朝食を食べて、体を動かせば(徒歩通園、朝の体操や運動あそび)、体温はおのずと高まります。それが子どもたちの心身のウォーミングアップにつながり、その後、いろいろな活動に積極的に取り組むことができるようになるのです。
そこで、早寝、早起きの知恵として、それぞれ4つのポイントを挙げてみます。

(1)早寝

  1. 太陽の下で十分運動させ、心地よい疲れを得る。
    午前中だけでなく、午後3時以降の運動あそびを充実させれば、夕方にはおなかがすいて夕食に専念でき、午後8時頃には疲れがピークとなり、眠くなります。反対に、昼、部屋の中でテレビを見たり、夕食前におやつを食べながらテレビゲームをしたりすると、心地よい疲れが得られず、なかなか眠れません。
  2. 夕食と入浴を早めに済ませ、遅くまでテレビを見せない。
    テレビを見る時間や寝る時刻を決め、寝る前に飲食や過度な運動をさせないことが大切です。睡眠の前に活発に運動したり、光刺激を受けていくと、大脳が活性化して眠れなくなります。夜は入浴で体を温め、リラックスさせるのが一番でしょう。
  3. 家族が寝る体制を作る。
    協力して子どもが安心して眠れる環境を作りましょう。寝室にテレビの音や話し声が聞こえないようにした上で、静かで優しい音楽を流すのも良い方法です。
  4. 翌朝の通園が楽しみという雰囲気を作りましょう。

(2)早起き

  1. カーテンを薄めにし、朝日がさし込むようにしましょう。
    朝になったらカーテンを開け、外の新鮮な空気や陽光を部屋の中に入れます。また、ベッドの位置を窓の近くに移し、戸外の小鳥の鳴き声や生活音などが自然な形で入りやすくしましょう。
  2. 夜、寝ついたらエアコンを切り、例えば、冬は朝の寒気で自然に目覚めるようにしましょう。
  3. 楽しく起きることができるようにしましょう。
    おいしい朝食を作り、起きる時刻に子どもの好きな音楽をかけます。子どもの好きな目覚まし時計を使うのも良いでしょう。時には、朝食のにおいを流してみてはどうでしょうか。
  4. 親が早く起きて手本を示しましょう。
    子どもは、常に親の行動を見ていて、まねをすることを忘れないようにしましょう。
    要は、実現可能な目標を設定することが大切です。決してたくさんではなく、1つずつです。なかなか難しいことと思いますが、安易に見過ごしてしまうと、将来、子どもの体と心に取り返しのつかないことが起こるかもしれません。

まとめ---生活リズムの乱れ改善策1点突破、全面改善のための知恵。

子どもと保護者の生活調査や生活リズム研究を通して、わかってきたことを、以下に示します。

  1. 年齢が低く、体力の弱い子どもは、午前中のあそびだけで、夜には疲れを誘発し、はやく眠くなりますが、加齢に伴って体力がついてくると、午前中のあそびだけでは十分な疲れをもたらさず、遅くまで起きていられます。もう1つ、午後のあそびが必要です。
    とりわけ、午後3時以降の積極的な運動あそびで、しっかり運動エネルギーを発散させ、情緒の解放を図っておくことが、夜の入眠を早める秘訣です
  2. 夕食の開始が午後7時を過ぎると、就寝が午後10時をまわる確率が高くなります。幼児には、午後6時から7時頃までに夕食を始めさせるのがおすすめです。
  3. 朝、疲れている子どもは、テレビやビデオの視聴時間が長く、夜、寝るのが遅いです。そして、睡眠時間が短く、日中の運動量が少ないです。その母親の携帯メールの実施時間は長いことがわかっています。親子ともに、夜は物とのかかわりをしており、親と子のふれあい時間が少ないのが特徴です。
  4. 夜8時になったら、環境を暗くし、夜を感じさせて、眠りへと導きましょう。テレビのついた部屋は、光刺激が入るので眠れません。電気を消して部屋を暗くすることが大切です。
  5. 朝になったら、カーテンをあける習慣を作ります。朝には、陽光を感じさせ、光刺激で目覚めさせましょう。

生活は、1日のサイクルでつながっているので、1つが悪くなると、どんどん崩れていきます。しかし、生活の節目の1つが改善できると、次第にほかのことも良くなっていくというロマンがあります。これら5項の知恵を参考にして、生活改善の作戦を立ててみましょう。あきらめないで、問題改善の目標を1つに絞り、1つずつ改善に向けて取り組んでいきましょう。必ずよくなってきます。

監修者紹介

前橋 明(早稲田大学人間科学部 教授)
1977年南オレゴン州立大学卒業。倉敷市立短期大学教授、米国バーモント大学客員教授・ノーウィッジ大学客員教授等を経て、2003年4月から現職。医学博士(岡山大学医学部)。

前橋先生からのメッセージ

「食べて、動いて、よく寝よう!!」
これが、生きる力の基盤となる自律神経を鍛え、体温調節のできる子どもを育む秘訣です。
子どもたちの心やふれあいを育てるためには、家庭における『食』を、自律神経を鍛え、生きる力を育むためには『運動』を、キレないで情緒や精神を安定させるためには『睡眠』を、生活の中で努めて大切にしていかねばならないのです。

前橋 明先生

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